自治体議員立憲ネットワーク

自治体議員立憲ネットワーク設立趣意書

2014年6月15日

 

  1. 二つの国政選挙において絶対的安定多数を確保した安倍政権は、特定秘密保護法を強行成立させたものの国民の抵抗にあい、96条改悪による憲法改正をあきらめ従来の自民党の伝統的解釈改憲路線に戻り、砂川裁判判決を踏まえれば現憲法において集団的自衛権の「限定容認」は可能であるとの主張をし始めました。

     

     しかし、またも、識者、マスコミ、国民世論の反撃に会い今度は1972年政府見解の見直しに基づく「限定容認論」をかざし、具体的事例議論で公明党との与党協議を押し切ろうとしています。

     

     一方で、「限定容認」論は国民投票による憲法改正までの過渡的なものであり、2年かけて100箇所で自民党地方政治学校を開催しながら憲法改正世論を地方から作り上げる準備も画策しています。

     

     アジアを歴訪したオバマ大統領は、中国の政治的経済的台頭を前に日本の沖縄・辺野古基地移転を歓迎し、韓国・38度線→日本・尖閣→フィリピン・スーピック海軍基地→マレーシア・マラッカ海峡にらむ安全協定と中国封じ込め=オバマラインを示しながらも、一方で米中新世界秩序構築による東アジアにおける主導権を確保すべくTPP=新経済秩序の構築も前提に安倍政権に距離感を示しました。

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  3. 日米のこの関係をどのように評価すべきでしょうか。安倍政権の暴走は、戦後の米ソ冷戦時代からソ連の崩壊以降の米一極世界体制を経て米中の新世界秩序への変動の中で引き起こされています。

     

     集団的自衛権の容認は、中国の尖閣にとどまらない東アジア全域における軍拡・海洋覇権への危機感が地政学的意味を媒介にして、従来の2国間日米同盟の枠を超えるASEAN諸国への軍事支援をも射程にいれ「自主国防を主とし日米安保を従」とする質的転換の中にあります。

     

     軍事・経済をめぐる日米の矛盾がそこにあります。靖国神社参拝、特定秘密保護法、安全保障会議の設置、歴史修正主義など世界から「ファッショ右派政権」と評されるゆえんです。

     

     そして、それは中国の海洋覇権を求める膨張政策への反発から生まれるナショナリズム、非正規雇用の拡大など雇用不安・社会保障不安がもたらす強い政府を期待するナショナリズム、二重のナショナリズムに支えられていることも直視しなければなりません。「尖閣」をめぐる日中両国内に存在する戦争推進勢力の暴走は、一歩間違えれば偶発的日中戦争を引き起こしかねない危険な状態です。

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  5. 自治体で活動する私たちが直面しているのはこのナショナリズムだけでなく、安倍政権が国民からの成長経済への期待に支えられていることです。

     

     つまり、福島原発事故による13万人もの避難者が故郷を追われている現実やいまだ収束しない原発事故を無視するかのように、異次元の金融緩和、大胆な財政出動、1000兆円を超える借金国家を膨らませ、原発再稼動、リニア新幹線、東京オリンピック、武器輸出を成長産業と称するアベノミクスの一時的高揚と高度経済成長の再来幻想に私たち地方自治体だけでなく日本全体が巻き込まれていることです。

     

     こうした中で、憲法記念日に各マスコミで一斉に行われた世論調査において、特定秘密保護法を強行された際に勃発した国民的批判世論が立ち現れています。特に、毎日新聞調査で、「9条改正すべきと思わない」が51%で「思う」の36%を15%上回ったことで、昨年の「思わない」37%、「思う」46%と大きく変化しています。

     

  6. こうした時代に私たち自治体議員として果たすべき役割とはなんでしょうか。人口減少・財政難の自治体の現状に頭を悩まし、東京一極主義に代表される地方からの大都市への人口流失の現状を憂い、再生可能エネルギー、農業の6次産業化、マネー資本主義から里山資本主義への方向転換などコミュニティー再生・新しい経済の仕組みや新しい公共による福祉社会など新たな自治の仕組みを模索してきました。

     

     分権をめぐる議論は、地方分権一括法が制定された2000年の高揚の時代から、政治の分野において橋下とおる大阪市長の大阪都構想や教育委員会制度の見直し、沖縄県竹富町における教科書選定への政府の介入など、国家主義を語る分権派の台頭が中央政府に対等であるはずの地方政府にまで浸透し後退が始まっています。地方政府の本来的あり方を求めて自治基本条例や議会基本条例を定め「市民と政府と議会」のあり方を根本的につくり変えようとし悪戦苦闘してきたこの時期に、安倍政権が戦争をする国家体制へと大きく舵を切ろうとしているのです。

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  8. 私たち自治体議員は、「国政と地域」を結び、「運動と制度(政治)」を結び、「法律と現場」を重ねることが出来る多くの機能を持っており、私たちこそが今日の日本の民主主義の危機を市民と共に打開して行くことができる重要な位置にいることを自覚しなければなりません。

     

     私たちはこの時代の流れを深く憂慮し、新たな政治への流れを自ら興す必要があると判断しました。私たちの気持ちは、すでに、政党の枠を超えた国会議員の「立憲フォーラム」(代表近藤昭一・民主)の立ち上げに刺激を受け、新たに発足した「戦争をさせない1000人委員会」の運動や「立憲デモクラシーの会」を発足させた学者文化人運動に対応しようとするものです。

     

     憲法9条がノーベル平和賞にノミネートされました。立憲主義と平和主義の原理を押しつぶさんとする安倍政権の暴挙にゆるやかで幅広い有機的な自治体議員の1000人のネットワークを呼び掛けたいと考えます。来年の統一地方選挙は日本の政治を左右する重要な節目の自治体選挙であり、先立つ福島県知事選挙・沖縄県知事選挙は前哨戦でもあります。

     

     これらの闘いに立憲主義と平和主義の陣地を踏み固めていくためにも、全国各地の「戦争をさせない1000人委員会」運動の先頭に立ち、2年間に100箇所の自民党地方政治学校に対抗し全国に波及する1000人の自治体議員の運動を巻き起こしていこうではありませんか。